赤ちゃんの成長速度はとても早くて、日々違うように感じられる。
朝と夜だけでも顔が違ったり、授乳後ですら変化する赤ちゃん。
身体もどんどん変化していく。
慌ただしくもあたたかい空気も存在する日々。
時間としても真逆の流れが同時に存在していて、自分自身の時間感覚が麻痺したのも興味深い体験だった。
妻の妊娠生活をサポートしていく中で高齢出産になるので最後かもしれないという思いもあり
一日一日を大切に過ごすという意識が強くなっていたのだが、
赤ちゃんの、人間の成長を間近で感じていると更にそういう考えは強くなった。
瞬間を、時間を、一日一日を重ねて。
もう戻らないであろう刻々と変化していく姿を残していきたいという気持ちを当然のことのように抱き
写真を撮っていたのだが、その写真を見た人からチラホラと撮ってほしいという言葉を耳にする。
本来、我が子は両親が撮ってあげればそれで良いと考えていたので驚いたけど、
昨今のあふれかえる容易な写真たちの中で、自分が撮る写真の必要性があるのであれば
とても嬉しいことである。
作家として自分の作品を残したい一方で、誰かの残したいという気持ちを形にすることも重要なことだと考えられるようになった。
赤ちゃんが生まれないと周りが見えるようにならないなんて、お恥ずかしい限りである。
貴重な時間はお金にするといくらなのだろうか。
正直、僕にはわからない。
それぞれの生活や考え方があるので、答えはたくさんあるのだろうと思います。
価格設定が高いと思う方も当然いるでしょう。
それでも多くの人達と向かいあっていけたら、出逢っていけたら。
機械の中にある画像ファイルではなく、プリントされた写真をみてほしい。
そして、飾ってほしい。
残したい、飾りたいと思ってもらえる写真をたくさん撮っていこうと強く思うのです。
小林 敏大